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2008年1月17日 (木)

来日外国人と研究開発

#一見別物に見えそうな二つの新聞記事。一つは「在留外国人の長期滞在のための日本語要件」。もうひとつは、「産業スパイ防止法」。この二つ、実は、日本の研究開発環境(つまり大学・研究所および企業)にとっては相互に関連した重要な法案となりそうである。

#在留外国人といえば、日本の少子高齢化・人口減少やそれらにむすびついたモノづくり衰退・格差社会の問題などが思い起こされるが、2025年までの日本の高度科学技術のあり方をまとめた「イノベーション25」という政府策定構想においても、工業・産業技術の担い手不足が心配されている。

#欧米先進国では、移民労働力が国の産業人口に欠かせない存在となっているが、日本でもそうなりつつある。日本の大学でもすでに、外国人留学生10万人計画が達成され、2025年までには100万人計画を達成するというシナリオが描かれている。

#労働人口の担い手をすんなりと外からの流入に頼っていいものかどうか、議論はわかれようが、かりに労働移民先進国のような政策をとるとして、まず問題になるのが、在留外国人の統合政策という問題である。移民統合政策ともいわれ、労働や社会活動のための長期滞在に一定の要件、語学・経済状況などのハードルがもうけられて、それをクリアできた人にのみ特定の長期滞在許可を与えるというものである。

#このこと自体は、国・地域社会に適合しやすい外国人労働力の受け入れを進めていく上でしごく合理的であるのだが、その一方、こうした人たちが、高度な科学技術による産業開発に従事していく割合もしぜんと高まると思われる。

#その際に、高付加価値のあるサービス・製品に関係した技術知識の海外流出をくいとめようというのが二番目の記事の趣旨であるが、これは、実はあまり適用ができない法律だと言われている。「産業スパイ」というといかにも派手なイメージになるが、これを立件するのが非常に困難である。

#日本も、1980-90年代に、アメリカの情報通信産業やバイオなどのハイテク産業から特許侵害や「スパイ事件」などの訴追を受けた経験が多々ある。しかし、情報通信産業たとえばIBMによる日本企業の特許侵害も提訴にいたるまで長い時間がかかっているし、比較的記憶に新しい理化学研究所研究員の米国バイオ系研究所でのスパイ疑惑にしてもかなり不透明な事件となっていた。

#米国の場合、FBIやCIAというものいりの情報インテリジェンス機関があってさえ、案件を精査し立件にまで至るのが難しいのである。ただし、ここでいいたいのは、立件をすることに血道を上げよ、ということではなく、事件の発生をより低く抑えるような環境作りをまず考えよ、ということである。

#日本語の資格がそうした環境の一つかもしれない。ただし、滞留外国人に義務付ければいいだけではなくて、地域社会・労働環境に「迎えいれる」ことが必要であろう。インターネットで見ていると、この二つは、さまざまな在留日本人社会で話題になっている記事である。

<来日外国人>入国や在留審査で日本語能力を重視へ 政府
(毎日新聞 - 01月15日 18:23)
 政府は日本に長期滞在する外国人の入国や在留許可審査の際、日本語能力を要件として重視する具体策を外務、法務両省が検討することを決めた。就労目的などで増加傾向にある外国人が地域社会に溶け込みやすい環境整備につなげるとともに、来日する外国人にも日本語学習意欲を高めてもらうのが狙い。

 高村正彦外相が15日の閣議後会見で明らかにした。外相は「日本語能力は、外国人自身の生活の質を高めるためにも、日本社会のためにも大切」と強調したうえで「『日本へ行くために日本語を勉強しよう』という機運が高まれば大変よいことだ」と述べた。

 具体的には、入国時の上陸審査基準に日本語能力を新たに盛り込むかどうかや、在留期間の更新、資格変更時に日本語能力の向上について確認するなど、何らかの形で考慮することが検討対象となる見通し。外務省によると、カナダでは就労目的の永住者が査証申請時に提出する略歴で、語学力を含む6項目をポイント化し、総ポイント数に応じて許可。英国、ドイツ、フランスで語学能力を重視する移民政策を取っているという。

 ただ、政府内には、要件を厳しくすることで「査証(ビザ)の発給・更新などに影響が生じ、貴重な人材が入国できなくなる可能性もある」との課題を指摘する声もある。【上野央絵】

<産業スパイ防止法>経産省が制定検討 来年の国会に提出へ
(毎日新聞 - 01月15日 19:33)
 経済産業省は15日、企業の重要情報を盗む「産業スパイ」行為を取り締まる新たな法律を制定する方針を明らかにした。刑法で摘発できなかった情報を盗む行為を取り締まり、企業の情報流出を防ぐのが狙い。特許法も改正し、国の安全保障上、重要な特許は非公開にする方針だ。両法案とも来年の通常国会に提出する予定。

 甘利明経産相が同日の閣議後会見で、重要情報が記録されたコンパクトディスク(CD)を例に挙げ「日本の窃盗罪はCD盤にかかるが、情報の中身に対する窃盗罪はない」と述べ、新法制定の必要性を指摘した。

 経産省は、重要情報を不正に入手したり、漏えいさせただけで摘発できるよう法整備を進める方針で、法案の具体的な中身は今年春、産業構造審議会(経産相の諮問機関)に諮る。また、特許法改正では「秘密特許制度」を導入し、安全保障上、重要な技術と指定した特許は閲覧できないようにする方針だ。【瀬尾忠義】

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